月は本当に常に同じ面を地球に向けている?

投稿者: | 2020年3月20日

拙著では、月が地球に対して常に同じ面を向けている理由を説明しました。月の公転と自転の角速度が同一であるからでした。これは偶然ではなく、潮汐力により必然的に起きているものです。

しかしながら、常に同じ面を向けているわけではありません。周期的に少しだけ向きを変えています。これを秤動(ひょうどう)とよびます。時間経過によってずれが蓄積されるわけではなく、長期間の平均では常に同じ向きです。

秤動を長期間にわたって観測した動画があります。

生き物のように動いていますが、必ず戻っていますね。

秤動の原因は、月の自転軸が公転面に対し完全に垂直でないこと(地球もそうですが)など、いくつかあります。

月の公転軌道が楕円を描くこともその一つです。楕円による影響は月の向きだけではありません。月の大きさを見てください。変化していますね。月の軌道が楕円であるということは、月と地球の距離が変化しているということです。

キャプションのDiameterは月の直径(地球からの角度で表示)Distanceは月と地球の距離を示していると思います。

話がそれますが、スーパームーンとよばれる状態も、この楕円と関係があり、最も地球に近い位置における満月(または新月)のことです。図の縦軸は月と地球の距離、横軸は時間、●は満月、×は新月です。

Lasunncty, 2 January 2017,CC BY-SA 4.0

さらに話がそれますが、よく見ると地球照も確認できます。月の欠けているはずのところがぼんやりと見える現象です。

地球照は地球のアルベドの影響を受けます。つまり、地球からの反射が多いときは、より地球照がはっきりします。

アルベドは気候の影響を受けます。地球の気候の変動を研究する材料として、地球照の変化を観測することもあるぐらいですから、その影響は大きそうです。

スノーボールアース(全球凍結)のときはアルベドが大きい値になっていたはずです。その頃、地球照はもっとはっきりしていたのでしょうか。