なぜ西暦2100年はうるう年ではない?

投稿者: | 2021年7月28日

4年に一度うるう年があるとすれば西暦2100年はうるう年のはずですが、現在の西暦が続く限りはそうなることが決まっています。その理由について簡単に述べます。

(1)暦上の1年と公転周期の関係

現在我々が使用している西暦は太陽暦です。太陽の年周運動(地球から見た太陽の1年周期の運動)に合わせて1年が決まります。しかし完全に太陽の1年(太陽年)と暦の1年は一致しません。およそ365日と1/4日が太陽年です。より正確な数字は後述します。

そこで4年に1度、うるう日を追加し差を吸収します。

これを繰り返しても差は生じないはずです。

しかし、太陽年は正確に365.25日ではありません。約365.242日です。

4年に1度うるう日を追加し続けると差が累積し、暦が先行し年周運動が遅れます。

そこで必ず4年に1度うるう日を挿入するのではなく、前回のうるう年からの4年後であってもうるう日を設けない年を決めます。

これによって暦と年周運動の差が生じないよう調整されます。

(2)うるう年の規則

前項の通り、うるう年は必ず4年に1度あるわけではありません。以下の条件に合う年がうるう年です。

(a)暦の年の数字が4で割り切れる場合はうるう年。

(b)ただし暦の年の数字が100で割り切れる場合はうるう年ではない。

(c)ただし暦の年の数字が400で割り切れる場合はうるう年。

上記条件は相反するところがありますが(c)・(b)・(a)の順に優先されます。

例えば、以下のようになります。

2024年はうるう年。

2100年はうるう年ではない。

2000年はうるう年。

このように規則がやや複雑なのは約364.242と365.250の比によって決まるからです。

計算式は省略しますが、4で割り切れる年が100回あるとそのうち97回はうるう年、3回はうるう年でない、とすれば400年周期で暦と年周運動がほぼ一致します。

そこで100年に1回、4年で割り切れる年であってもうるう年でないということにします。25回のうち24回つまり100回のうち96回がうるう年ということになります。

しかしそれではうるう年を減らしすぎです。100回(400年)のうち1回を例外中の例外としてうるう年とすれば100回のうち97回がうるう年ということになります。これが400で割り切れる年です。

(3)ユリウス暦とグレゴリオ暦

西暦は1種類ではありません。現在我々が使用している西暦はグレゴリオ暦とよばれます。

現在はあまり使われませんがユリウス暦も西暦の一種です。古代ローマのユリウス・カエサルによって始められた暦で、西洋では16世紀まで広く使われました。

ユリウス暦では必ず4年に1度うるう年があります。太陽年が365.25日であるとしたのでしょう。当時の観測技術としては高い精度であったと思います。

しかしやがてずれが生じ始めます。そこで16世紀にローマ教皇グレゴリウス13世が改暦をしました。これがグレゴリオ暦です。すんなりと移行したわけではないのですが、やがて西洋に広まってゆきます。

現在、世界のほとんどの地域でグレゴリオ暦が採用されていますが、今でもヨーロッパの一部の教会ではユリウス暦を使用しています。改暦による日付の変更やその後のユリウス暦のずれの蓄積によって現在ではユリウス暦はグレゴリオ暦より約13日遅れています。

太陽年は整数の比で表される数ではないので、うるう年の数を調整するグレゴリオ暦でも誤差は生じています。これに代わる暦の案は古くからありますが採用はされていません。