科学博物館などでこの動画のような展示を見たことがないでしょうか。
発見者であるエルンスト・クラドニの名にちなみ、クラドニ図形とよばれます。
仕掛けは簡単で、金属やプラスチックなどの板に、スピーカーなどで板の一か所を振動させるだけです。その上に白色などの目立つ粉をふりかけます。
金属やプラスチックの板は硬いのですが、外部から振動を与えられれば波となって周囲へ伝わります。
下図1段目の青をご覧ください。左端の振動源から右端の板の端まで、振動が伝わる様子を極端に示しています。
波は板の端でなくなるわけではありません。板の内側へ向けて反射します。反射波は図の2段目の緑色です。
つまり、板には2種類(青と緑)の波が存在します。これらの波は足しあわされたようになります。それが3段目の赤です。
赤の波をよく見てください。波が同じところで振動しているように見えますね。これを定常波(定在波)とよびます。振動源から直接広がった波(入射波)と板の端で反射した波(反射波)が重畳すると定常波になるのです。
定常波は場所によって振幅(振れ幅)が異なります。最も振幅が大きいところを腹、最も小さいところを節とよびます。
これは張ったゴム紐を振動させた動画です。英語ですが、周波数を変えると腹と節の数が変わるということを言っているだけです。ちょっと見苦しいところがありますがご了承ください。
クラドニ図形の場合、板の端は自由単、この動画の場合、固定端という違いがあり、反射のしかたは異なりますが、原理は同じです。
さて、クラドニ図形に戻ります。腹にある粉末は振動によってどちらかの方へ動こうとします。節は振動しないので、節にある粉末は動きません。したがって、節に粉末が集まります。
上の波形の図は、板のある断面を観察したところです。節は点です。しかし実際は、板は2次元で、節は線になります。節の場所は振動源の周波数、波の伝播速度、板の形状・寸法などによって決まります。周波数によって模様が変わるのはそのためです。