以下の図とサイトをご覧ください。
「宇宙の寒さ」から直接エネルギーを生み出す技術が開発される
驚異のエネマネ新技術⑤ ~「宇宙の寒さで発電」する技術って?~
面白そうな研究ですが、難しそうでもありますね。しかしおおよそは推測できます。鍵となる概念は、2点あります。
一つは温度差です。蒸気機関車の原理を考えてみましょう。蒸気機関車は石炭を燃やし、その熱エネルギーで動きます。なぜ石炭を燃やすと運動エネルギーが発生するのでしょう。熱エネルギーで空気が膨張し、その力でピストンを動かすからです。
空気が膨張するのは燃料の燃焼によって空気が常温から高温に変化するからです。もし、いくら高温であっても温度が一定だと空気は膨張しません。
常温の環境に置いておいた、空気の入ったシリンダーとピストンを冷凍室に入れるとどうなるでしょう。膨張によってピストンが動きます。つまり、温度差があれば、周囲が寒くても暖かくてもそれを別のエネルギーに変えることができるのです。
もう一つは、室温が一定のところでは放射熱が平衡状態にあるということです。
絶対零度でない限り、物体からは熱を放射します。熱の伝わり方は対流・伝導・放射の3種類があると教わりましたが、その放射です。
我々の体からも、机からも、天井からも熱を放射しています。では、放射した分、物体の温度が下がるのではないでしょうか。室内のように密閉されたところでは、それぞれの物体から発した熱は別の物体を温めています。それらの収支が一致しているので、温度は一定を保っているのです。
さて、研究の話に戻りましょう。凹面鏡を夜空に向け、その焦点にフォトダイオードなどが置かれているようです。凹面鏡は寒さを集めているのでしょうか。
こう考えてみましょう。もし、これが天井のある室内だったらどうでしょう。夜空と何も変わらないように思えますが、そうでもありません。天井からは、わずかに熱が放射されておりフォトダイオードに届いています。焦点に届く熱は、その周囲とほとんど変わりません。
天井がないと、その先は夜空です。凹面鏡の焦点に届く熱は減ります。しかしその周囲に届く熱の量はほとんど変わりません。
この熱の量の差を利用して発電しているのです。