定義
\(n \times n\)の行列\(A\)により以下のように表すことができる場合、\(A^{-1}\)を\(A\)の逆行列とよぶ。
$$A A^{-1} = A^{-1} A = I$$
ただし、\(I\)は\(n \times n\)の単位行列。
正方行列には必ず逆行列が存在するわけではありません。逆行列が存在する場合、その行列のことを正則行列または可逆行列(invertible matrix)、逆行列が存在しない場合、非正則行列または非可逆行列(non-invertible matrix)とよびます。
また、逆行列が存在する場合、その行列を正則である、または可逆である、といいます。
定理1
\(2 \times 2\)の行列\(A\)が正則である場合、逆行列は以下のように表される。
\begin{align} A^{-1}=\frac{1}{ad – bc} \begin{pmatrix} d&-b\\ -c&a \end{pmatrix} \end{align}確認
掃き出し法により正しいことを確認します。
定理1と一致しました。
例
\(3 \times 3\)の行列の行列式はサラスの公式(下図)により求めることができます。
確認
余因子行列により逆行列を表すと以下になります。
各成分の行列式を計算すると定理2と一致します。
例
以下は定理2の通り各成分と行列式を計算し逆行列を求めた例です。