(1)ケプラーの法則とは
惑星は太陽の周りで円運動しているように思えますが、正確に円を描いているわけではありません。どの惑星も軌道は楕円です。その運動に関する法則は発見者の名にちなみケプラーの法則とよばれます。
ケプラーの法則には以下の三つがあります。
第一法則
惑星は太陽を焦点のひとつとする楕円軌道上を動く。
第二法則
惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積(面積速度)は一定である。
第三法則
惑星の公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例する。
ページの下にシミュレーションのブロックがあります。これらの法則を確かめてみましょう。
(2)第一法則のシミュレーション
楕円にはいくつか興味深い性質があります。その一つに、焦点(二つあります)と周囲の任意の点を結ぶ2本の線の長さの合計は常に一定というものがあります。
糸の先端を2点で固定し糸を張った状態で動かすとその軌跡が楕円になるのはこのような性質があるからです。
惑星の軌道と焦点もこの関係が成立しているはずです。
シミュレーションでは太陽の周りを惑星が動きながら、惑星と焦点との距離の合計を計算します。
右のグラフの横軸は時間、縦軸は距離の合計です。
開始直後、半周するまでの間は惑星と焦点の間の距離は表示しません。楕円の寸法を測定するためです。半周過ぎたところから開始します。
「第一」のボタンを押すと開始します。
(3)第二法則のシミュレーション
この法則は、惑星が太陽に近いところでは速く、遠いところでは遅く移動することを示しています。
シミュレーションでは惑星の現在位置、惑星の単位時間前の位置と太陽によってできる扇型の面積を測定しています。
右のグラフの横軸は時間、縦軸は上述の面積です。このシミュレーションも、惑星が楕円の半周を過ぎたところから測定しています。
「第二」のボタンを押すと始まります。
(4)第三法則のシミュレーション
この法則における「軌道長半径」とは、楕円の中心からの距離が最も大きい点と中心(焦点ではありません)との距離です。つまり長径のことです。
惑星の軌道は一意に決まるわけではありません。質量・距離・速度などの関係により決まります。
楕円でも双曲線でもない場合、楕円になります。同じ楕円であっても条件によって長径と短径は異なります。しかし、いずれの場合もこの法則を満たします。
このシミュレーションでは初速を変えることによって長径と短径を5通りに変化させ、それぞれの軌道長半径と周期を測定しています。
グラフの横軸が軌道長半径の3乗、縦軸が周期の2乗です。
「第三」のボタンを押すと開始します。
(5)まとめ
第一法則では惑星の軌道は楕円を描くことを示しています。シミュレーションのグラフは縦軸の値が一定でしたが、これは焦点とされる位置と惑星との距離の合計が一定であるということです。したがって法則が示す通り、軌道は楕円でした。
第二法則のグラフの縦軸は単位時間に進んだ軌跡と焦点を結ぶ面積です。やはり一定の値になりました。惑星が太陽に近いときは距離は短くなりますが、逆に速度が大きくなっていることが確認できると思います。
第三法則は楕円の長径・短径が変わるよう開始時点の速度を変えて1周進間の時間(周期)と長径の関係をグラフにしています。横軸は軌道長半径の3乗、縦軸は周期の2乗としてプロットしているので、いずれも原点を通る1本の直線上にあることにより、法則通りに運動していることがわかります。