線形代数 – 2×2、3×3の行列の逆行列

投稿者: | 2023年11月20日

定義

\(n \times n\)の行列\(A\)により以下のように表すことができる場合、\(A^{-1}\)を\(A\)の逆行列とよぶ。

$$A A^{-1} = A^{-1} A = I$$

ただし、\(I\)は\(n \times n\)の単位行列。

正方行列には必ず逆行列が存在するわけではありません。逆行列が存在する場合、その行列のことを正則行列または可逆行列(invertible matrix)、逆行列が存在しない場合、非正則行列または非可逆行列(non-invertible matrix)とよびます。

また、逆行列が存在する場合、その行列を正則である、または可逆である、といいます。

定理1

\(2 \times 2\)の行列\(A\)が正則である場合、逆行列は以下のように表される。

\begin{align} A^{-1}=\frac{1}{ad – bc} \begin{pmatrix} d&-b\\ -c&a \end{pmatrix} \end{align}

確認

掃き出し法により正しいことを確認します。

定理1と一致しました。

定理2

\(A\)が以下の\(3 \times 3\)の正方行列であるとする。

\(A\)が正則である場合、逆行列は以下で表される。

ただし、

\(3 \times 3\)の行列の行列式はサラスの公式(下図)により求めることができます。

確認

余因子行列により逆行列を表すと以下になります。

各成分の行列式を計算すると定理2と一致します。

以下は定理2の通り各成分と行列式を計算し逆行列を求めた例です。