物質の温度を上げていくと固体・液体・気体と変わります。さらに物質の温度を上げていくと、分子が激しく衝突し、そのエネルギーによって分子が陽イオンと電子に分かれます。陽イオンと電子に分かれることを電離、陽イオンと電子に分かれた状態をプラズマとよびます。
太陽の表面では毎秒100万トンものプラズマが発生し周囲へ放射されています。これが太陽風です。太陽風は地球にも届きますが、地球の磁場によって上空でとらえられ、地球表面まではほとんど届きません。このプラズマが磁場に流されて酸素原子や窒素原子に衝突して光るのがオーロラと考えられています。
プラズマを発生させるのは熱だけではありません。例えば蛍光灯は、電圧を印加することによって中の水銀がプラズマになり発光します。地球の大気が紫外線やX線を受け電離しているのが電離層です。
時々、太陽のスーパーフレアが起きていることが報道されます。太陽の表面では絶えず爆発が起きています。この中で特に大きな爆発をスーパーフレアとよびます。これにより強力なX線が放射され、地球の電離層が普段より厚くなります。ラジオなどで使われる短波は電離層で反射することによって長距離の通信が可能ですが、電離層が厚くなり電波が吸収され、通信障害を起こすことがあります。
火もプラズマを発生します。ろうそくに火をつけるとろうそくの成分が気化し、酸化し(酸素と結びつき)エネルギーを生じます。高温になることによって光を発します。同時に高温になることによってさらにろうそくを気化させ、燃焼が継続します。
太陽などに比べれば火の温度は低いのですが、わずかにプラズマが発生します。
では、電極の間にろうそくを置くとどうなるでしょう。
左側がマイナスの電極でしょう。陽イオンはマイナス、電子はプラスの電極にひきつけられます。この陽イオンの流れによって、発光する部分が左に寄っているのでしょう。
ろうそく自体には電極に引き寄せられる成分はありません。燃焼することによって火が引き寄せられるということは、火によってプラズマが生じている証拠といえます。
しかし、ろうそくの火で反応を確認しようと思ったら、数十kVの電圧が必要のようです。簡単には実験できませんのでご注意ください。磁場にも反応するはずなので、私も手元にあった強力な磁石とライターを使ってやってみましたが、無反応でした。もっと強力な磁石が必要なのでしょうか。