大気循環

投稿者: | 2020年5月23日

下の画像を見て気が付くことはありませんか。ベージュ色の部分はアフリカ北部、アラビア半島などに存在します。赤道付近はほとんどが緑色です。

つまり赤道付近には砂漠はありません。熱帯雨林気候だからです。サハラ砂漠やなど、砂漠の多くは中緯度に存在します。ヒマラヤ山脈など、緯度以外の原因によってできた砂漠もありますがサハラ砂漠などは緯度が大きく関係しています。なぜでしょう。

まず地球の大気循環について考えてみましょう。

下の図は室内の空気の対流を示しています。暖房器具によって局所的に温められていると、その空気は膨張しようとします。周囲は同じ気圧なので横にひろがることはできません。そこで上に空気が広がり天井近くの圧力が高くなります。天井近くで周辺に空気が広がり、冷めた空気は下に下がります。こうして空気が循環します。

地球も同じようになるはずです。つまり、赤道付近では空気が上昇し、極付近では空気が下降します。

しかし、こうはならず、北半球・南半球それぞれ3種類の循環(セル)に分かれます)。

赤道で上昇した空気は極(北極または南極)の方角へ向かいますが、コリオリの力によって曲がり極までは届きません。緯度約30度付近ではほぼ東または右を向くようになります。冷えた空気はここで下降します。そして地球の表面近くで赤道へと向かいます。

極付近でも同様に温度差によって循環が発生します。気温の低い極では下降気流が生じます。極より緯度の低い地域は相対的に気温の高く上昇気流が発生します。これを極循環とよびます。

もう一つ、ハドレー循環と極循環の間にフェレル循環があります。他二者は気温差から対流が生じたと理解できます。しかしフェレル循環は逆になっています。これはどう考えればよいでしょう。

フェレル循環がなぜ生じるかはわかっていません。中緯度には極端に熱せられたところや冷えたところがあるわけでもなく、対流の強い原動力がありません。むしろ、ハドレー循環と極循環によって間接的に引き起こされる流れが支配的となっており、これが循環を形成していると考えられています。

下の図の太い矢印は地球表面近くの空気の流れを示しています。それぞれ南または北に向かおうとするのですが、コリオリの力により向きを変え、東または西に向きます。

ハドレー循環とフェレル循環の間の空気はどうなっているでしょう。下降していますね。空気が下降するところでは雨が降りにくくなります。天気図を見ると高気圧が発生することが多いはずです。そのため、砂漠ができやすくなります。この地帯を亜熱帯高圧帯とよびます。