かつてコンコルドという、音速を超える速度(以下超音速)で巡行する旅客機がありましたが、商業的には成功しませんでした。
その原因の一つにソニックブームがあります。このソニックブームは、普段我々が耳にする飛行機の音とは全く異なります。
実際の音の大きさまではわかりませんが、撮影の状況から察するに、かなり耳障りであったことでしょう。ほとんどの国が領土上空での超音速飛行を禁止したというのもわかります。
ソニックブームの原理を説明している動画があります。日本語の字幕が表示可能です。
空気の流れに物体が当たると、あるいは空気中を物体が移動すると、物体の先頭に当たった空気は圧縮され、圧力波となります。圧力波は周辺へ広がっていきます。動画で波紋のように描かれていたものが圧力波です。
この圧力波は、音速以下(亜音速)では連続した波として伝わります。しかし超音速では、急激に圧力が変化する不連続な波となります。これを衝撃波とよびます。
圧力波の波紋は亜音速では飛行機から外へ広がっていくように伝わります。速度が大きくなるにつれて飛行機より先(進行方向)の波が密になります。そして音速を超えると、波紋の広がりは飛行機より遅れるため、飛行機を頂点とした円錐を描くようになります。
円錐の外は穏やかな状態ですが、円錐の中は衝撃波が重なり合っています。重なり合っているところは円錐の表面が観測者を通過する瞬間、静かな状態から衝撃波の領域に遷移します。この時に受ける激しい音響がソニックブームです。